角川の『俳句』の最新号(2026年10月号)にひまわり連衆の句が掲載されています。見開き2ページのグラビアで見ごたえがあります。秋の季語を使用した連衆の35句なので壮観です。

いくつか、難しい言葉があり、雑誌には説明されておりませんので冬扇が注釈を加えてみます。
○秋の一つ星(冬扇の句):この季語を歳時記で見つけるのは大変かと思います。一般的にいうと、星の名前は歳時記にあまりきちんと採録されているとは思えません。昔、星の名称を生活の中で深く見つめることがあったのは、船乗りや、農民などの庶民だったせいでしょう。宮中の行事に関連する「七夕」関連の星が採録されていますが、むしろそれは特殊なケースといえましょう。ですが、歳時記に少ないからと言って、昔の日本人は決して星に興味がなかったわけではありません。多くの星の和名が残っています。むしろ生活に関連する星の名前をどんどん歳時記に載せていくべきだと思います。
さて「秋の一つ星」ですが、「一つ星」というのは北極星を指していうことが多いと思います。北極星は年中見ることができるから、そのまま季語にすることはむずかしいですね。だから「秋の一つ星」として季語にみたてたのかというとそうではありません。「秋の一つ星」というのは実は「みなみの魚座」の一等星のことです。外国ではフォーマルハルトと呼ばれます。じつは秋の空で日本から見える一等星はこのうお座の一等星しかありません。だから「秋の一つ星」なのです。ちなみに日本から見える一等星は確か21個だったと思います(まちがっていたらごめん)。フォーマルハルトはこのごろは注目されている星です。太陽の割合そばのご近所さんで、また生まれたばっかり(4億年だとか)だといわれています。そういう星です。
○烏枢沙摩(うすさま/石田雨月さんの句):というのは仏教の神様のお1人で明王です。災いを除いてくださる明王で、注意深い人はトイレの中にお札が張ってあるのを見たことがあるかと思います。なかなか御利益の大きく明王の中でもベスト5だそうです。
○風呂名残(亀井きみ江さんの句):これは茶道で風炉手前で用いる釜のことでしょう。茶道では、風炉釜は5月から10月に使用され、陰暦十月の亥の日になると切った炉を開き、風炉は片付けるので、風炉で名残を惜しむ茶会を行うのを(ふろのなごり)と称して季語にもなっています。昔、奈良時代には風呂と風炉は混同して用いていたこともあるので、あながち風呂名残と書いてもまちがいとはいえませんが、現代では風炉名残と書いた方がよいでしょう。
