「徳島吟行案内」編集室から:作業中のサンプル②

   阿波十郎兵衛屋敷

 JR徳島駅から車で15分、徳島市営バス、川内循環バス左回りで約25分で「十郎兵衛屋敷」で下車するとすぐに阿波十郎兵衛屋敷がある。ここは阿波十郎兵衛の屋敷跡であり、阿波人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門」ゆかりの場所である。1698年に罪状も明らかにされないまま藩の政策上の犠牲となって処刑された庄屋、板東十郎兵衛の名を借りて、お家騒動の物語にしたてたものと言われている。

 阿波人形浄瑠璃の特色は、農村舞台や小屋掛けの仮設舞台など野外で演じることが多かったため、文楽と比べて一回りも二回りも大きな、光沢のある塗りの人形を使い、「阿波の手」と呼ばれる大きな振りで演じられている。ここでも農村舞台をモデルにした舞台で毎日、阿波人形浄瑠璃を上演している。

 屋敷内には、「鶴亀の庭」と称する池泉式庭園があり、雌雄2匹の鶴と亀が見立てられている。

 展示室には阿波木偶や人形の衣装などの資料展示、農村舞台や箱まわしの紹介、人形遣いの体験もできる。また阿波藍製品、特産物、人形浄瑠璃グッズなど、徳島県内の選りすぐりの品々を取り扱うショップもある。

 十郎兵衛屋敷から北へ3分くらいで十郎兵衛一族の墓所のある宝生寺がある。阿波藩の礎石であり犠牲者である十郎兵衛一家は処刑後、墓の建立もかなわず弟の墓石とともに十郎兵衛の墓としてまつられている。この墓は裏面に次男と三男。右側に十郎兵衛と妻お弓。正面に十郎兵衛の弟。左側に長男と長女おつるの八霊の法号が刻まれている関係から四囲に水盤がある珍しいものである

 十郎兵衛屋敷からすぐのところに阿波木偶人形会館がある。浄瑠璃人形の総合展示場、人形頭の制作過程説明、人形頭のカラクリの仕掛の説明などを行っている。また、木偶人形の販売、修理、修復も行っている。

 人形師による実際の人形頭を触りながらの解説は分かりやすくて面白い。体験型の文化、観光施設である。

                  (鈴木和恵)

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