ひまわり誌6月号から作品を紹介していただきました

青海波の松家京子さんの「他結社俳誌拝見」から要約して転載させていただきました(増補版)

         ひまわり 令和8年6月号より{通巻九五九号}

               

〇会長作品 消しゴム 15句より            。

  春昼の消しゴム落ちて転がって    西池 冬扇

     消しゴムが落ちてただ転がっただけの情景だが、季語、春昼の斡旋で想像の幅が広がってくる。作者は事務仕事をされていてぼんやりしたのだろう。文字を間違ってそれを消すときにもまだ眠気が収まらず消しゴムを取り落としてしまったらしい。「誰れかれの頭に桜のちよんちよこりん」という俳句にも惹かれた。まるで言葉遊びの好きな少女のように若々しい。

〇主宰作品 仏舎利 15句より

  春昼の泣くも喚くも羅漢さん     西池みどり

     第五番札所の羅漢堂の作品だろう。私も何度か羅漢堂にて自分に似た像や知人に似た像を探したことがある。堂の薄暗がりの中では一人でいると五百羅漢に見下ろされ、なんだか怖くて孤独になってしまう。羅漢のいろいろな表情を泣く喚くと言いきったところがすごいと思う。何 事にも動じない強い力を感じた。

〇蓬莱集より

  コンドルの檻から覗く春夕焼     新井 義典

     コンドルと季語の取り合せが楽しい。夕焼けの翌日は好`天と言うから一見寂しそうに見えたコンドルへの春夕焼はエールなのだ。そして檻のコンドルも作者のように夕焼けを見ていたのだろう。

〇好日集より

  無骨な胴いかつい幹や花ざかり    小川内豊彦

     公園などで太い幹のあの捩れや大きく割れ込んだごつごつした表面を見ると、そこに生き続けてきた深い歴史を感じるものだ。ああ、今年もよく花を咲かせてくれたと桜にたいする労りが一句になった。

  パットライスこぼれ蛙の目借り時   生島 春江

     一読して思わず笑ってしまった。子供のころの楽しみのパットライス、最近でもよくお目にかかるものだ。私の考えた勝手なドラマを話してみよう。車の中で後部席の幼児がぐずぐず言い始めた。パットライスを渡されて食べ始めた子はおとなしく食べ始めたが、眠気が襲ってきた。パットライスは散々に食べ散らかされこぼれ落ちて後部席は手の付けられない状態。幼児は囗の周りを汚して眠っている。何とも微笑ましい句だ。

〇他に注目した句

  鶯の声ばかりして空き家村      森田 道子

  忘れ物したか蟻んこ引き返し     田辺 美葉

  素っぴんをすっぽり隠す春帽子    蓮池 照子

  猪と筍掘りの競い合い        多田  勝

  恐竜の化石もまじり雛祭       阿部千栄子

  花見客スマホのぞいているばかり   笹嶋 武山

“ひまわり誌6月号から作品を紹介していただきました” への 2 件のフィードバック

  1. 新井義典 より:

    松屋さん取り上げていただきありがとうございます。この句は檻のなかのコンドルの孤独感を表現しようとしたものです。おっしゃる通り、春の夕焼がエールになればいいのですが。

  2. 新井義典 より:

    失礼しました。松屋さんは松家さんの間違いです。お詫びします。

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