随聞小話第052回(ひまわり誌2026年5月号より)
「表記する文字」
〈バラ散るや己がくづれし音の中〉
〈ばら散るや己がくづれし音の中〉
〈薔薇散るや己がくづれし音の中〉
現代の日本語が通常生活で使用している文字は七種類ほどあります。俳句ではそのうち漢字、カタカナ、ひらがなの三種が主に使用されます。その三種類でどのように俳句の感じ方が変化するか自分で考えてみましょう。
「バラ」と表現すると、少し西洋的な感じがしませんか。でも何か花以外のものも連想してしまいそうです。「ばら」と表現すると、確かにやさしい感じがしますが、花のことだと認識するのに一瞬のおくれがあるような気がします。また「薔薇」と表すと豪華な花をイメージしそうです、冬薔薇は「ふゆそうび」と呼び「ふゆばら」とは言う人はほとんどいないと思いますが、これは「湯桶読み」で、あまり私は好きではありません。
一般的にはひらがなは優しい雰囲気になるからと言われます。カタカナは外来語や学問的に生物を示す時や、擬音擬態などを表すときに使われるようです。漢字は表意文字なので姿をイメージすることができるし、中国伝来の言葉にはよく合うようですし、格調の高さがあるので好む人がいるようです。
