2026年4月号ひまわりから鑑賞しました 蔵本芙美子

大寒や寒さはきはきして来たる 雫 逢花
大寒は二十四節気のひとつで陰暦十二月の中、陽暦では一月二十日頃となる。一年で最も寒い時期となるとされており、実感としても寒さが厳しくなったなあと感じる頃だ。この実感を「はきはきして」来ると表現して、オノマトペの意外な使い方で新鮮だった。歳時記にはこの大寒の傍題に寒がわりというのがある。
雪掻いてまた雪掻いて日が暮れて 小山内豊彦
作者はひまわり会員では最北の青森に住んでおられる。この冬のニュースでも毎日毎日雪掻きに追われる映像がよく流れていた。掲句は同じ語を重ねたリズムによって終わりの見えない雪掻きの苦労が伝わってくる。そして下五で諦念のようなものまで・・・。因みにある支部の珠玉抄鑑賞では全員がいただいた句でした。
寒風に揺れて蹴り合うズボン達 亀井きみ江
ズボン達という言い方に少々引っ掛かる人もいるかも知れないけれど、ここではこの表現がよく嵌っていると思う。何枚か干してあるズボンが風に揺れて絡んでほぐれて、まるで人の脚が蹴り合っているようだったのだろう。寒風が効いている。
デイバッグ押され押されて春節祭 萩原善恵
以前に神戸の中華街の春節祭に行き会ったことがある。人人人でこのとおりの様子だった。人ではなくデイバッグが押されると言って人込みを表現したところが巧みだなあと。春聯で赤い街と化した中華街だった。
揚雲雀そんなに向きにならいでも 吉田 稔
いろいろな鑑賞があるだろうが、私はこの句二句一章の取合せの句ととった。雲雀が囀りながら天へ舞い上がる様を背景にして、誰かに向かって「そんなに一生懸命にならなくてもいいよ」と声掛けをしている。やさしい包容力ある眼差しが見えて来て温かい。ならいでもの言い方は今でも徳島では使われており、何だかおばあちゃんの温もり(自分も十分おばあちゃんだけれど…)を思う。

いつもながら芙美子さんの鑑賞にはなるほど!と思え、また楽しい!
俳句を作るのはまだまだ苦手で苦しいと思う時もあるけれど、鑑賞文を読むのは本当に楽しく、それだけでも俳句をやっていてよかったと思う!たった17文字だからこそ、読み手の想像力の入る余地が大いにあり、それが句以上の世界をみせてくれる。俳句は詠み手以上に読み手で完成する、唯一の文学かも?