随聞小話第十七回
捻り花
山男くる捩花の小鉢提げ 高井北杜
捩花はいわゆる雑草だ。このごろブームの牧野博士が雑草にも一つ一つ名前がある、とドラマの中で力説していた。「雑」には「お前ら役たたずめ」という意味合いを感じるからだろうか。でも雑巾はルムンバの活躍する現在でも重宝。雑民という言葉も私は嫌いではない、雑踏は嫌いだが。雑の対立概念は多々あるが、一番危険なのが「雑と純」だ。
雑草はどれも個性が強い。捩花は短い芝生のあちこちつんつんとピンク色で揺れている。見つけると、折り採って指先でくるくる回してみたくなる。らせん状の花の行列が上へ上へと昇り不思議な感覚に陥る。
捻り花あの世へ人はぞろぞろと 冬扇