ひまわり俳句界会長 西池冬扇
だいぶ前から噂はいろいろあったのですが、先週末に寺田敏子代表取締役社長から倒産の通知があったと俳句界の社員(正確には元というべきです)の方から連絡いただきました。倒産によって債務関係は弁護士を通じて処理されることになるようです。
思えば「俳句界」の雑詠欄には、2015年2月号以来11年以上にわたり選者を務めさせていただいたことになります。その間、投句者の皆さまからいろいろとお便りをいただいたことが、楽しく思い出されると同時に、投句の場を失われ失望の念を抱かれた皆様には選者として申し訳ないと思います。また皆様に投句を勧めていた立場からも申し訳なく思います。特に5月号や6月号に投句をなさっていた方のお怒りをひしひしと感じます。選者としても言いようのない憤りを感じます。
せめて、すでに入稿済みで手元に残った冬扇選をご披露しておきたいと思います。残念ながら15句の特選分佳作分は雑誌社の方へ返却したため記録が手元にありませんのでご容赦ください。

俳句界雑詠 2026年05月号 西池冬扇分の選評
特選3句
○甕の中は枯れた水草ばかり。その上に落ち葉が降り積もり、命の影はない。中の目高は生きているのやら。でも暖かい日ざしが水面を照らす日はよたよたと水面に浮いてくることもある。今日はじっと底の方で寒い日を耐えているのだ。水草もそうだ。(113)
髪切って耳さとくなる初鏡
〇「耳聡い」とは聴覚が鋭くなることだ。「耳さとい」とも「耳ざとい」ともいうが、清音なら小賢そうだし、濁音なら悪賢そうだから面白い。新年を迎えなにか決意を新たにしたとか、いや恋人を変えたのだとか、周囲の人が姦しいのも良く聞こえる。(113)
鈍行やだれか車内に蜜柑剥く
○鈍行の列車には、一種独特の雰囲気というか空気があった。北国ではストーブの入った列車もあった。四人掛けのボックスで、姿は見えなくても、食べ物の匂いはすぐその車両中に広がったのを思い出す。そんなレトロな時代の景ではある。(108)
以上特選3句評

俳句界雑詠2026年05月号 添削指導 (320文字)
西池冬扇
レトリック(修辞法)のひとつに転置法(Hyperbaton)と呼ばれる方法がある。言葉の順序を通常とは入れ替えて、特に先頭に持ってくる言葉を強調する修辞法だ。むろん詩歌の修辞法としてもよく用いられる。
“To the Ihatove, I will go.” とでも言うような類のものだ。
文頭に引用した句は散文そのものである。五七五のモーラを七五五とひっくり返しただけで、かえって違和感を生じるだけである。
むしろこの句では転置法を使用すると、少しは気が利いた表現 になると思うが、どうか。
明日は雪母から聞いた話だと
