一口選評
○鉢植えの無花果遂に実が三つ 丸岡扶左子 (イチジクの鉢植とは珍しい句材、桃栗三年柿八年、はて無花果は)
○でで虫の背の筋模様左巻き 上地禎子 (左巻きは珍しいそうですね。つむじもそのようです)
○夕焼におみやげみっつたこみっつ 今岡京子 (子供の遊び言葉には詩情があります。句材としての成功率が高いかな)
○靴の紐結び直して登山口 安田五郎 (下山前の靴紐の締め直しは良く聞きますね。この句はいよいよという決意のあらわれ)
○大夕焼薄れ一番星一つ 山下悦子 (夕方の刻々と変わる空の景は見あきませんね一番星と最初に名付けた人を尊敬します)
○ねじ花の正面何処と一回転 今倉雅子 (捩花を積んで手に持つと自然にくるりと回したくなるようです。共感を得る句ですね)
○夏の星三角形を描いてみる 川口厚子 (夏空の大三角形は天体観測の第一歩。もっと天体に関する俳句を作ってみましょう)
○雨宿り夏蝶二つ松葉裏 武田道子 (松葉裏とは変わったところに雨宿りですね)
○葉先から葉先へ蜘蛛の網あまた 鎌村恭子 (今年は発行所の垣根にも蜘蛛が多いようです)
○穴子釣る宵の明星消えるまで 生島春江 (おかずの取得に苦労してるのだろうか、などと想像したりすると笑える。しかし、穴子釣りとする方が客観的な景になる)
○ハイタッチしてはまたねと夏休み 田辺美葉 (昔夏休みほどうれしいものはなかった、ハイタッチはこの頃の風俗)
○觔斗雲が集まってあの雲の峰 岩崎由宜 (ただ、ただ広い空の向こうに観音様が雲のように立ちあがり、その周囲を無数の孫悟空が分身の術で飛びまわっているファンタジーの世界。暑い時はこんなことでも考えなければ)
稲妻や龍のごとくに道塞ぐ 坂本明召 (「ごとく」の使用は一般的にむづかしい)
右団扇左にスマホ雄姿待つ 横山かなめ (「雄姿待つ」の意が不明瞭)
午後三時威嚇の音か夏畑 上西 眉 (何かの作物を守っているのでしょうか)
ユニフォームは黒と金色今日大暑 山田百代 (新鮮ないいまわしではある)
点と線水面に映るあめんぼう 大賀 毬 (デッサン的タッチが好ましい。もう一歩)
梅雨最中緞帳内の気は一つ 松尾智子 (「気は一つ」に具体性が欲しい)
空蝉の展望台の椅子の上 大塚正子 (上五「の」の役割があいまい)
炎昼やスイングジャズと幌馬車と 佐野新一 (新鮮で面白い あと一歩)
篝火に薪焼べる手も鵜匠かな 吉田正子 (よくできています、少し新鮮味が不足)
コンビニへ一歩足入れ汗の引く 山本茂美 (日常生活の観察はできています、ゆるい)
天翔る神馬も眠る合歓の花 上荷千賀 (「天翔る」が活きていない)
トライスロンに挑む選手や夾竹桃 中富はるか (夾竹桃は少し動きそう)
緑児の足はマシュマロ夏の服 平 弥生 (わかります)
厄除けの粽に人は皆向かう 尾﨑宏子 (おもしろい表現)
半夏生溜池多き町を過ぐ 錦野絹子 (よい感じ。「半夏生」は活きているか)
新樹蔭老いの将棋の駒の音 西岡光子 (的確なスケッチ、ただ陳腐な材料)
正座して鮎食ぶ神父の阿波訛り 田岡美智子 (外国の神父さんなんでしょうかね)
朝の蝉紫けむる裏の山 成田ヒデ子 (実景なのでしょう。イメージがわかります)
張り紙に蝮出たとや散歩道 錦野斌彦 (言い回しで素敵になりましたが句材は陳腐1
粗挽きのコーヒーふたつ半夏生 藤本紀子 (よくできてますが、これも句材が陳腐)
ほうたるを口のかたちで吾に知らす 松岡さつき (イメージは新鮮です、あと一歩)
鬼百合の見得を切るごと反りにけり 鶴瀬 萩 (「ごと」は「ごとし」と同じくむつかしい)
虎が雨西瓜の蔓を腐らせて 斎藤いちご (「虎が雨」の効果は)
風死すや足場に足袋の音ひとつ 松岡才二 (「音ひとつ」は言いえた表現だが、そのシーンで最適でしょうか)
苔乾きポロリと落ちて酷暑かな 清水規代 (乾いたのですね)
暑き夜を本能寺へとひた歩く 井内胡桃 (ムムムという句ですが、読者は走ってほしかったりする)

冬扇先生の一口選評に、一句ずつ、なるほど、そうかと府に落ちます。次の句作に少しずつでも、活かしたいと思います。活かせるといいのですが。
道子さんに同じです!!一口選評を参考に、休まず出すことを目標に、マイペースで頑張り💪ます!
選んで頂きとても嬉しいです。何年も実をつけてくれなかったのに、今年やっと……。食べるのをとても楽しみにしていたのに、ある日、急に実が無くなりました。鳥の仕業かなあと思います。残念です。