サクラダイは鯛ですか

         随聞小話第5回(初出「ひまわり誌」2022年6月号

 真鯛は春先が繁殖期。鮮やかな桜色になりオスは白い斑点が現れとても美しい。それを桜鯛と呼ぶ習わしのようだ。鯛が特に有名なのは、徳島県の鳴門、兵庫県の明石産で非常に美味と、ブランド化されている。桜鯛とはきれいな名前なので晩春の季語としても人気がある。ただ単に「鯛」だけでは季語として扱かわれていないようだが、〈荒海にめしひて鯛を愛すかな 三橋鷹女〉や〈鯛あまたゐる海の上盛装して 桂信子〉などの句もある。それぞれ自然の中に存在する人間の愛おしさを感じさせる句である。
 ところで、真鯛ではなく「サクラダイ」という名前を持つスズキ目スズキ亜目ハタ科ハナダイ亜科に属する小さい魚がいる。あまり俳人には興味をもたれないが、れっきとした地球上の生物仲間だ。とかく名前は面白い。 (西池冬扇)

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