随聞小話第1回(ひまわり2022年2月号)西池冬扇
初夢の子啼爺の重きこと 冬扇

今年の正月(2022年)、大歩危に遊びにいった。大歩危のある徳島県三好市山城は「妖怪の里」として知られる。JR大歩危駅についたら、駅長の帽子を被った木彫りの子啼爺がお出迎えをしてくれる。来客はたいがい並んでツーショットということになる。
子啼爺が腹掛けをしたおじいさんという現在の容姿になったのは水木しげるが「ゲゲゲの鬼太郎」でそのように描いたからだろう。もともと全国的に広がっている、いくつかの妖怪の要素が混合したのが子啼爺の現在の姿らしい。この科学の発達した時代に妖怪などと一章に付してはいけない。「妖怪の里」は町の知恵者が観光資源として考えたものかもしれないけれども、その底には近代以後の社会が忘れ去ろうとしたモノコトへの警告があるのかもしれない。妖怪は時代が進んでも姿を変えて必ず現れるのである。「鬼滅の刃」の流行だってあなどってはならない。
初夢の子啼爺の重きこと 冬扇

