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著名な俳人で「晨」「百鳥」の同人であられる中山世一氏から冬扇会長の『俳句の興趣』の評をいただきました。皆様の参考になるかと思い、世一氏の御承諾を得ましたのでブログにそのまま紹介させていただきます。
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(前略)
この度やっと一読することが出来ました。
大変興味のある内容で、惹かれるところが多くありました。貴方の文章はいつも論理がはっきりとしていて読みやすいと思っています。
この度の論においてもこれまで俳句の世界では余り顧みられなかったことが書かれており、そこの斬新さと切り口の鋭さを感じます。
感じるところはいろいろありますが、
桜餅ふたつ出されて二つ食ふ 菅野孝夫
の句に触れられているところです。(p74)この人とは「塔の会」という超結社の句会で毎月句会をしています。なかなかに骨のある人だと思っていますが、この句の評は大変面白く思いました。
そしてもう一つ、大峯あきらの句
虫の夜の星空に浮く地球かな
がちやがちやに夜な夜な赤き火星かな
月はいま地球の裏か磯遊び
を採り上げ、解説しているところです。大峯あきらさんとは「青」時代から長いお付き合いのある方で、私の尊敬している俳人のひとりです。
この部分は私も常々感じているところであり、よく書いてくださったと思いました。
彼は哲学者であり、お寺の坊さんであり、俳人であると多くの人が思っており、本人も三足の草鞋を履いてきたといっていました。実は私もそう思っていましたが、最近中村雅樹氏が「本当は一足の草鞋ではなかったか」と書かれており、虚をつかれたものです。この辺はもう少し考えてみたいと思っています。
「俳句」五月号には「わび、さび」の特集があり、無常観の辺りは貴ご意見と同じような見解が出されている部分がありますが、ともに大変勉強させられます。
ほかにもp151,p153、p154などでメタリアルな視座として大峯あきらの句が語られていますが、こうして語られると、なるほどそういうことだったかと思えることが多々あります。
多くの本を読み,思索を深めておられますが、これまで頂いた本の内容から見ても、やはり内容は深まっているように感じます。 本当にいい本をありがとうございました。(後略)
